2012/04/16 【ニュース】墨田区におけるワンルーム規制の適用について

【ニュース】墨田区におけるワンルーム規制の適用について

東京都墨田区において、サービス付き高齢者向け住宅の建設を計画している事業者から、ワンルーム規制によりファミリータイプの住戸の設置が義務付けられ、事業計画を進める上での障害になっているとの相談があり、墨田区の都市計画部開発調整課及び建築指導課の担当者に話を聞きました。

墨田区における主な規制の内容は以下の通りです。

<対象は、住戸数が15戸以上の共同住宅の用途に供する建築物。
ここでいう住戸とは、居室、流し、浴室、便所等の設備を有するもの>

主な規制の内容は、1住戸の専用床面積は25u以上とすること、
全体の住戸数が25戸以上の場合においては、その住戸数の30%以上を専用面積40u以上の住戸とすること、
などです。

詳細は、http://www.city.sumida.lg.jp/matizukuri/kentiku/jyourei.html



Q.条例は、高齢者住宅の整備を促進しようとする国の政策に反するのではないでしょうか?

→この条例は、入居者の属性にかかわらず、良質な集合住宅の供給を促進するためのものであり、高齢者向けの住宅の建築を規制するものではありません。


Q.ワンルーム規制を行っている自治体でも、高齢者向け住宅の場合は適用除外するケースはありますが、そのように柔軟な対応はできないのでしょうか?

→条例の内容に沿った対応になるので、条例で定める集合住宅に該当する場合に例外扱いはできません。また、現時点では、サービス付き高齢者向け住宅を適用除外とする条例の改正等も予定しておりません。


Q.(建築基準法上の)用途が共同住宅でない場合や、専用部分に浴室がないため住戸にはあたらない場合(住室となる)はどうなるのでしょうか?

→条例で定める集合住宅に該当しなくなる(寄宿舎や有料老人ホームなど)ため、適用はなくなります。
※事務局注:7月1日より条例の改正が予定されており、15以上の住室がある寄宿舎や長屋も集合住宅に該当することになります。


Q.サービス付き高齢者向け住宅を、有料老人ホームの用途として建築することは可能でしょうか?

→実際の運営形態を聞いたうえでの判断になりますが、可能です。


ワンルーム規制を行っている他の自治体にも散見されることですが、新しく制度化されたサービス付き高齢者向け住宅の内容への理解が不十分なこともあり、本質的な議論がなされないまま機械的に条例を適用させている感じが否めません。墨田区のケースでは、同じ建物で、運営も同じように行われるケースであっても、建築確認申請の際にどの用途で扱われることになるかで条例の適用の有無が違ってくることになり、事業者にとっては悩ましい問題です。

建築基準法の用途については、国からも基本的な考え方が示されておりますが、最終的には自治体の判断にゆだねられており、同じ建物であっても、共同住宅、寄宿舎、有料老人ホームとその扱いが異なっているのが現状です。

こうした曖昧さが、ワンルーム規制などの自治体独自の規制と相まって、サービス付き高齢者向け住宅の供給促進にマイナスとなることのないよう、国や地方自治体へ積極的に働き掛けていきたいと思います。